灰色の季節


裕二♂ 高3
元気のよい受験生。常に明るく前向きにいるが、根っこの部分は心配性。

隼人 高3
本人はクールなつもりだけれど、そんなことはない。やや裕二よりおとなしめ。
裕二の事を溺愛しているがあまりそれは裕二には伝わっていない様子。


※行為そのものはありませんが、セリフから行為を匂わせる程度にはBLです。


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裕二:
隼人:
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裕二:あーーーーもう全然わっかんねー・・・

隼人:だからその問題は、この公式使うんだって。さっきも教えただろ?

裕二:さっきの問題と全然違うじゃねぇか。

隼人:そりゃそうだ。同じ問題が続くわけがない。でもよくみろ。
   解いてる途中でさっきの問題と似たような形になってるのがわかるか?

裕二:わからん。

隼人:・・・だよな。だろうな。

裕二:何で数学なんて存在するんだ・・・。

隼人:哲学的な話か?

裕二:ばか。んなわけねぇだろ。

隼人:そんな馬鹿に数学教えてもらってるんだろ?

裕二:あーあ。お前はいいよなぁ、もう大学決まってて。

隼人:おかげさまでね。

裕二:何がおかげさまなんだか。

隼人:俺もよくわからない。でもここでいうのが適当だと思って。

裕二:適当じゃねーよ、ばーか。

隼人:馬鹿に馬鹿とは言われたくないな。

裕二:ちょっと理系分野得意だからっていい気になりやがって・・・。

隼人:理系得意なのは大きなアドバンテージだぞ?

裕二:知ってますー。この3年間で身に染みましたー。

隼人:お前本当に数学ダメだもんなぁ。数学できないと物理と化学はちょっときついしなぁ。
   何でよりにもよって理科の選択、物理と化学にしたんだ?

裕二:生物と地学は性にあわないんだよ・・・。

隼人:でも絶対そっち選んでた方が楽だったぞ。

裕二:ああ大丈夫。俺、この1年ずっと後悔してるから。

隼人:後悔先に立たず。

裕二:何でこんなに苦しまねばならんのだ。

隼人:受験生だから。

裕二:隼人は苦しんでねーじゃん。

隼人:俺はさっさと進路決めたからな。

裕二:学校推薦なんてずりぃ。

隼人:お前も学校推薦受ければよかったじゃん。

裕二:本当だよなぁ・・・何で俺受けなかったの?

隼人:俺に聞くなよ。

裕二:ていうか、隼人が学校推薦受けるときに俺に話してくれればよかったんじゃね?
   そしたら俺もそういう手段があるって気づけただろ?

隼人:お、そうくるか。

裕二:そうきましたが何か。

隼人:・・・ま、それを今いっても仕方ないということで。ほら、早くこの問題解けよ。

裕二:逃げた。

隼人:逃げじゃねーよ。お前のためを思ってんの。前期日程まであと何日でしょうか?

裕二:・・・現実は見ないことにした。

隼人:逃げんなよ受験生。

裕二:逃げ出したいに決まってるだろ・・・。

隼人:センター試験乗り越えたんだからあと少しだろ。

裕二:センターの採点ミスってないか不安で仕方ない・・・。

隼人:俺もチェックしたし、大きくは外さないだろ。志望校くらい余裕だって。

裕二:・・・俺、本当に受かるかなぁ。

隼人:受かるよ、大丈夫。俺が見てやってんだから、大丈夫に決まってる。

裕二:うわ、その自信がむかつく。

隼人:というか、自由登校の俺がわざわざ登校してきて勉強みてやってんだから、受からなかったら怒るぞ。

裕二:最近の若者はすぐきれるー。

隼人:だいぶ我慢してる方だよ、俺は。

裕二:そうか?

隼人:そう。色んなこと我慢してる。

裕二:例えば?

隼人:お前にキスしたいとか。

裕二:は!?

隼人:お前に触れたいとか。

裕二:ばっ・・・ばか!

隼人:何で?

裕二:ここ学校!

隼人:知ってる。

裕二:だったら・・・。

隼人:だからいつも我慢してる。今年は受験だから、そこそこ我慢してた。
   俺は受験終わったけど、お前はまだだから、ずっと我慢してる。

裕二:今はそういう我慢の話じゃなかっただろ。

隼人:そういうのも含めての我慢だよ。

裕二:・・・ばか。

隼人:お前さぁ、国語できるくせに語彙力ないよな。

裕二:うるせぇばか。

隼人:馬鹿ばっかり言ってんじゃねぇよ馬鹿。ほら、早く問題解けよ。全然進んでない。

裕二:・・・もうそんな気分じゃない。

隼人:ん?受験諦めるのか?

裕二:そうじゃなくて!・・・今日はこれで終わりにしよ。

隼人:へぇ?

裕二:帰ろう、隼人。

隼人:どこに?

裕二:家だよ。でもとりあえず・・・寄り道しよう。

隼人:だから、どこに?

裕二:言わせんなよばか。

隼人:馬鹿だからちゃんと言ってくれないとわからない。

裕二:・・・とりあえず海いこうぜ、海。

隼人:海?

裕二:ちょっと気分転換。

隼人:オーケー。んじゃ、いこうか。





裕二:あーーーー!やっぱり海はいいなー!広いなー!大きいなーーー!

隼人:うるさい叫ぶな。

裕二:叫ばずにはいられないでしょ。

隼人:恥ずかしいやつ。

裕二:隼人も叫んでみればいいんだよ。海のばかやろー!って。

隼人:叫ばねぇよ。

裕二:つまらんやつ。

隼人:そういうところで面白さを求めてないからな、俺は。

裕二:あっそ。・・・あー・・・久しぶりに海みた。

隼人:最近はずっと家と学校の往復だったもんな。

裕二:何かサラリーマンみたい。

隼人:いやいや、サラリーマンはもっと過酷だと思うぞ。

裕二:そうかー?

隼人:毎日満員電車に揺られてるわけだしな。

裕二:それなら俺らだってほら、満員電車乗って学校いって、死ぬほど勉強してまた電車に揺られて帰って、
   っていう生活じゃん?サラリーマンと変わんねぇよ。

隼人:サラリーマンは生活かかってるけど、俺らは生活はかかってない。よってサラリーマンの方が過酷である。

裕二:数学の証明みたいなこと言うなよ・・・。

隼人:すぐ勉強につなげるとは、受験生の鑑だな。

裕二:受験ノイローゼとも言う。

隼人:大変だなぁ、受験生。

裕二:お前も一応受験生だろ。

隼人:元受験生デス。

裕二:ほんっと羨ましいわ。

隼人:ここで頑張れば、あとで楽になるって。もしここで頑張らなかったら絶対後悔する。
   だから後悔しないために、今を精一杯頑張りましょう。

裕二:先生みてぇ。っていうか、お前さっきからキャラぶれ過ぎ。何キャラ目指してんの?

隼人:クーデレ優等生。

裕二:クーデレ?

隼人:普段はクールに振舞って口数少なく感情表現も苦手だけど、特定の人にはデレデレするっていうやつ。

裕二:口数少ない?

隼人:口数少ないだろ?

裕二:そうかぁ?口うるさいと思うんだけど。

隼人:おかしいな。物静かな子だと言われて育ってきたはずなんだが。

裕二:お前が?

隼人:俺が。

裕二:うそだー。

隼人:嘘じゃないって。学校で俺のイメージのアンケートとったら「物静かでクールな優等生」って答え出るって。

裕二:クールねぇ・・・。

隼人:クールだろ?

裕二:あークールね、クール。そうですねークールですねー。

隼人:心がこもってない。

裕二:これでもかってくらいこめてるけど?クールクール。隼人はクール。間違いない。

隼人:クールはクールでもクーデレな。ここ大事。

裕二:クーデレなぁ・・・。

隼人:お前にはデレてるだろ?

裕二:・・・はいはい、そうですねー。

隼人:んで、このあとどうする?っていうか、何で海きたんだ?

裕二:んー?来てみたくなって。

隼人:真冬に?

裕二:別に泳ぎたかったわけじゃねーよ。叫びたかっただけ。

隼人:青春だね。

裕二:青春を謳歌している受験生ですから。

隼人:灰色の日々を過ごす受験生。

裕二:まったくだー。

隼人:・・・このあとどうする?

裕二:ん・・・あそこ、行こうぜ。

(近くのラブホを指差す裕二)

隼人:・・・本気で言ってる?

裕二:超本気。

隼人:ラブホなんて入れないだろ。

裕二:あそこは大丈夫なんだって。

隼人:調べたのかよ。

裕二:・・・まぁね。

隼人:手際のいいことで。

裕二:ああいうところでやったことなかったじゃん?たまには趣向を変えていかがかね?

隼人:色気のないお誘いだこと。

裕二:色気出した方がいい?あはーんうふーんみたいな?

隼人:・・・やっぱいいわ。

裕二:だろ?そんなことより、行ってみない?

隼人:・・・そうだな。

裕二:よっしゃ!

隼人:たまってんの?

裕二:誰かさんに煽られただけ。

隼人:煽ったつもりはないけどなぁ。

裕二:いやいや、あれは完全に煽ってたね。だから、いいよね?

隼人:・・・久しぶりだしな。

裕二:楽しませてくれよ?

隼人:ほう?それはこちらのセリフだ。





隼人:あー・・・すっきりした。

裕二:おっさんか。

隼人:久しぶりだったからなー。発散できてよかったよかった。裕二は?

裕二:まぁ俺もすっきりしたかな。

隼人:体は平気?

裕二:何今さら気を遣ってんだよ。

隼人:いや、久しぶりだったから無理させたんじゃないかと思って。

裕二:女じゃないんだから、そういう心配いらねぇよ。

隼人:そういうわけにもいかないだろ。

裕二:どうしたんだよ急に。これがデレってやつ?

隼人:いつでもお前の体のことは心配してるよ。特に今は大事な時期だからな。
   無理な負担はかけたくない。

裕二:そっか。ありがとな、心配してくれて。でも本当に平気。

隼人:それならいいけど。

裕二:なんだよもー。急にしおらしくなって!お前らしくない!

隼人:久しぶりだったからかな・・・何か愛しくなった。

裕二:・・・そいういうのはベッドの上だけにして。

隼人:何で?

裕二:・・・恥ずかしい。

隼人:かわいいなぁ。

裕二:うるせぇばーか!

隼人:おいで、裕二。ちょっとここに座ろ?

裕二:・・・うん。

(2人、海辺の椅子に座る)

裕二:あっという間に夕方だなー。

隼人:本当にな。もう少ししたらすぐ日が暮れるぞ。

裕二:1日が30時間くらいあればいいのに。

隼人:その30時間の半分以上は勉強に費やされたとしても?

裕二:増やされた時間くらい自由にさせてくれよ・・・。

隼人:あと少しの我慢だから頑張れって。

裕二:どうしてこう、・・・せっかく幸せな気分に浸れたっていうのに現実に引き戻そうとするかな。

隼人:いつまでも逃避させるわけにはいかないからな。

裕二:今日くらいはいいじゃん。

隼人:・・・ま、それもそうか。でも、明日からは受験生に戻ろうな?

裕二:わかってるよ。
   ・・・あのさぁ、隼人。

隼人:何?

裕二:・・・これから俺たち、どうなるんだろうな。

隼人:どうって?

裕二:・・・いや、なんでもない!

隼人:は?何、気になるじゃん。

裕二:ちょっとしんみりしただけ。

隼人:何で?

裕二:受験生だからかな?何でもかんでも不安になっちゃったってだけ。

隼人:別にいままでどおりで何も変わらないだろ。

裕二:そうかな?

隼人:そうだよ。

裕二:離れ離れになるのに?

隼人:ああ。なんだ、それが不安なのか。

裕二:当たり前だろばか。

隼人:いままでどおりだよ。

裕二:違う大学なのに?

隼人:そりゃ毎日顔を突き合わせることはなくなるけど、帰省の度にあえるだろ?
   お互いの家に遊びにいってもいい。ちょっと遠いけど、週末とかに会おうと思えばあえるよ。

裕二:でも、サークル入ったりバイトはじめたりさ、そうなったらすれ違うじゃん。

隼人:先に予定組んでおけばいいだろ。その日にお互い休みをあわせればいいだけ。簡単だろ?

裕二:簡単かな。

隼人:大学は自分で講義選んだりもできるし、そこでうまいこと合わせられたら平日に会うこともできるよ。

裕二:そうかな・・・。

隼人:何でそんなに不安になってんだよ。

裕二:・・・俺、男だから。

隼人:どういうこと?

裕二:だってさ、いくらお前が精を放っても俺は受け止めることはできない。
   流れていくだけで、そこに何のつながりも作ることはかなわない。それは俺が男だから。
   そんな風に、全部流れていく。お前の熱も、声も、時が経てば思い出として消えてしまう。
   ・・・いつか、お前も消えちゃうんじゃないかって不安なんだよ。

隼人:裕二・・・。

裕二:うまい言葉が見つからないけど、とにかく不安なんだよ。
   俺だってわけわかんねぇよ。バカバカしいと思うけど、とにかく不安なんだ。
   先が見えないから、どうしていいかわからなくなる。先を考えると真っ白になって、それが不安なんだ。
   ・・・だから今日、海に来たんだ。ぜーんぶ海に流しちゃおうって。

隼人:・・・別れるか。

裕二:それは、いやだなぁ。

隼人:じゃぁ海に流すってどういうことだよ。

裕二:・・・別れるってことかな。

隼人:俺のこと嫌いになった?

裕二:まさか!

隼人:じゃぁ何で別れる必要があるんだよ。

裕二:・・・だって。

隼人:だってじゃない。

裕二:・・・だって、先が見えないのは不安なんだよ。

隼人:不安だったら別れるのか?

裕二:隼人には不安な気持ちない?

隼人:あるに決まってんだろ。

裕二:・・・別れようって思わない?

隼人:思わない。

裕二:・・・隼人は強いなぁ。

隼人:強いわけじゃないよ。ただ、それだけ裕二が好きってだけ。
   ・・・大丈夫、何も変わらない。
   住むところは少し離れるし、生活はばらばらになるけど、お互いの気持ちが変わらなければ平気だよ。

裕二:・・・そう、かな。

隼人:裕二は距離が離れたら心も離れちゃう?

裕二:そんなことない、と思う。

隼人:何でそんな自信なさそうなんだよ。

裕二:どうなるかわかんないじゃん・・・。

隼人:大丈夫だよ。(裕二の頭を撫でる)

裕二:・・・ん。そうだな。

隼人:とりあえず、お前は前期試験突破しないとな。だから明日からまた勉強がんばろう?
   もし浪人なんてなったら別々の大学行く以上にあえなくなるぞ。

裕二:だよなぁ・・・頑張らないとな。

隼人:俺も付き合うからさ。

裕二:サンキュー。

隼人:それじゃ、そろそろ帰るか。

裕二:おう。今日はありがとうな。

隼人:息抜きになっていればいいんだけど。

裕二:ストレスも発散させてもらったし、だいぶ力抜いた!

隼人:そりゃよかった。

裕二:・・・ありがとうな、隼人。大好き。

隼人:なんだよいきなり。・・・俺も好きだよ、裕二。ずっと一緒にいような。

裕二:・・・ああ、そうだな。



2015/4/23



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